ガラス雑学 10 ポートランドの壺
【カメオ・グラス】
古代ローマ皇帝のものだと考えられているこの壺は、ローマ
かエジプトで、アレキサンドリアのガラス職人が作った様です。
 
作品の大きさは、高さ24.7cm、濃いコバルトブルーのガラ
スに、乳白色のガラス被せ、それを削って浮き彫りを表現した
カメオ・グラスと言う技法で、異なる色ガラスの層を利用して
文様を表します。(サンドブラストも一緒ですね。)
 
簡単な文章で書いちゃいましたけど、これが当時の最高技術。 
同時代に日本で作られていたのが、弥生式土器だと聞けば、
その差には、愕然としますね。
 

【ウェッジウッドも惚れた(彫れた?)ガラス壺】

直線上に配置
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日本でも人気のあるウェッジウッドの陶器。その器の底にあるバックスタンプは、大英博物館にある名品
『ポートランドの壷』をデザインしたものです。
  
最後の所有者だった公爵家の名前から、「ポートランドの壺」と呼ばれていますが、ウェッジウッドの名を
飛躍的に有名にさせたのが、この壺の模造品を1790年に陶器で正確に作ったのが理由です。 
 
【悲運な壺】
『ポートランドの壷』と言えば、すぐこの事が思い出されるほど衝撃的な事件が起こります。
1845年2月7日、大英博物館にて閉館直前に、
 
『ガッシャーン!』
 
音を聞いて驚いた警備員・ホーキンス氏が、駆けつけた時には時すでに遅し。
側に飾ってあった、古い石の彫刻を取り上げて、壺の入っていたガラスケースに振り下ろしたのです。
 
彼の名は”ウィリアム・ロイド”という、偽名を使ったアイルランド人。
1週間前から酒びたりで、犯行時も泥酔状態だったようで、フラフラっと大英博物館に入ったら「ポートランド
の壺」が目に止まって、勢いでやってしまったようです。
  
犯人が正常な判断が下せない酩酊状態で、しかも当時の法律では、博物館側の管理責任が問われていた
ので、2日間刑務所プラス3ポンドの罰金で、事は済んでしまいました。
 
「3ポンド払えば、何のお咎めもなし」と言うのは、結構大胆な法律ですよね。
それで許されるんだったら、私も壊してみたいモノ、たくさんあるんですけど ・ ・ ・
 
壊れてしまったポートランドの壺は、200以上の破片となりました。
一時は修理不可能と言われいましたが、博物館の補修担当者ジョン・ダブルディ氏によって、ほぼ元通りに
繋ぎ合わされました。
 
それでも、どうしても収まりきらない微小な破片が37個残ったそうですが、2度目の修復で何とか元の形に
戻りました。
この修復に際しては、ウェッジウッドが製作したコピー品が大いに参考となり、今でも大英博物館で人々の 
注目を集め続けています。 
 

ウェッジウッドによる
ポートランドの壺・模造品